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プレス金型の基礎・構成部品・技術

投稿日時:2023/10/30 16:40


プレス金型とは

 

 

 

金型は、自動車のドア、パソコンの外装ケース、家電、タイヤ、ビール瓶、ゴム靴、アルミサッシなど、私たちの生活を支えている工業製品を作るために、必要不可欠な存在です。金型は工業製品の大量生産に用いられる特殊な工具のことを言い、金型によって安価な大量生産が可能になります。金型を用いる主な加工方法として、プレス・鍛造・鋳造・板金などがあり、同じ形状を転写する方法で加工するための原形となります。そのため、均一な品を大量に作ることができ、近代産業において重要な役割を担っています。金型による生産は、加工速度の向上や品質の安定、製造原価の低減を図ることができることから、工業製品の量産には欠かせない技術です。プレス加工用の金型は、プレス機械に取り付けた金型で板状の材料を挟み込み、圧力を加えて被加工材を変形させることにより、必要とされる形を作り出します。このプレス金型を用いる加工方法には、「抜き加工」「曲げ加工」「絞り加工」「成形加工」「圧縮加工」など多様な種類があります。

 

 

金型の構成部品について

 

【図1】金型の主要部品構成

 

パンチホルダ、ダイホルダ金型の基礎部分で生産する機械への取付箇所となる部品
パンチ、ダイ製品に接触して成形に直接関わる部品
ンチプレート、ダイプレート製品を成形する部品を組み込む部品
位置決めピン、ガイドプレート、パイロットパンチ材料や製品の位置を決める部品
ストリッパ、ノックアウト金型から製品やスクラップを排出する部品
その他プレスの上下動作を他の角度に変えるカム機構、異常を検出して機械を停止させるセンサーや金型冷却装置など、様々な機構が組み込まる

 

構成部品

 

プレス金型様々な機能を持つ複数の部品によって構成されています。

 

パンチホルダ

 

材料 SS400、S50C(S55C)、FC250、SKS3、A7075

 

パンチ、ダイホルダは、金型をプレス機械に取り付ける部分であると同時に、金型の剛性をサポートしたり、金型の高さ調整やスプリングなどの組込スペースとしての役割もあります。一般的に使われる材料はSS400とS50Cです。鋳鉄は、鋳物ダイセットを使用する際にFC250を使います。多量生産、高剛性を求める時にはSKS3を熱処理(56HRC程度)して使用します。軽量化を求める時は、A7075を使うこともあります。

 

バッキングプレート

 

材料 SK3、SK5、SKS3、S50C

 

金型の中でバッキングプレートは3箇所に使われます。小径のパンチ等の部品が加工力によってホルダにめり込んでいくのを防ぐバックアップ目的で使用します。その他に、部品の脱落防止(ストリッパバッキングプレート)および高さ調整の目的で使用します。バックアップ目的ではSK材を熱処理(56HRC程度)して使用します。高剛性を求めるならSKS材を使用します。S50Cのように熱処理をしないで使用する材料は、受圧面積の大きなパンチ等部品のバックアップや脱落防止や高さ調整が目的なら使用します。

 

パンチプレート

 

材料SS400、S50C(S55C)、SKS3、SKD11、プリハードン鋼

 

パンチプレートは小さなパンチを保持する目的で使用します。通常は、熱処理をしないSS400、S50Cなどを使用します。多量生産をする金型では、ある程度の硬さを持っているプリハードン鋼や、熱処理をしたSKS3またはSKD11を使用することもあります。SK材が使われることは少なく、ワイヤカット特性から、SKS3に対して加工誤差が気になるならSKD11が使われることもあります。

 

ストリッパプレート

 

材料 S50C、プリハードン鋼、SKS3、SKD11

 

ストリッパはかす取りが主機能ですが、材料押さえやパンチ先端をガイドする(パンチガイド)などの二次機能も、重要な役割として持たせることも多くなっています。少量生産でかす取りを主体としたときには、S50Cやプリハードン鋼など熱処理の必要のない材料が使われます。熱処理をしない材料で、材料押さえやパンチガイド機能を持たせることがありますが、ミスパンチを起こしたときにはプレートが変形してしまうことがあります。パンチガイドや材料押さえを付加する際に、SKS3、SKD11といった材料を熱処理して使用します。

 

ダイプレート

 

材料 SK材、SKS3、SKD11

 

少量生産の金型では、SK材やSKS3が使われます。標準的にはSKD11です。ワイヤーカット放電加工での金型作りが主流になって、この傾向が定着しました。

 

入れ子式プレート

金型には、入れ子式(インサートタイプ)のプレートも多く使われます。用途は、ストリッパプレートやダイプレートに多く使われます。本体プレートは、少量生産ではS50Cなどの材料を熱処理しないで使うことがあり、中量以上では、SKS3、SKD11などの材料を熱処理して使用します。入れ子用の材料は、SKD11、SKH51、粉末ハイス鋼および超硬合金などが使われており、メンテナンスのしやすさ、精度および寿命から使い分けます。

 

パンチ

パンチ材質は、SKS3、SKD11、SKH51および粉末ハイス、超硬合金などが使われます。SKD11が標準です。少量生産にはSKS3が使われることもあります。SKH51は形状が小さいときや、じん性を必要とするときに使用します。粉末ハイス、超硬合金は耐摩耗性や生産量が多い時に使用します。

 



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