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真鍮の加工方法

投稿日時:2022/03/24 14:51


銅材は、加工性や耐食性が高く、熱や電気が伝わりやすいだけでなく、見た目が綺麗に仕上がる非常に優れた母材のひとつです。中でも、亜鉛を加えた合金である真鍮は、銅の特徴を失うことなく亜鉛の割合を増すほど硬度を高くできます。外観も美しいことから、真鍮は適度な強度を持つ扱いやすい銅材として広く利用されています。

真鍮の加工上の特徴

真鍮は、熱間鍛造性や展延性に優れ、切削性が高い加工しやすい素材です。その優れた加工特性と欠点について順に説明していきます。

  • 熱間鍛造性に優れる

熱間鍛造とは、金属を再結晶温度以上に加熱した状態で鍛造することを指します。より具体的には、材料を炉で加熱し、金型に置いてエアハンマーで打撃したり、金型ではさみプレスで圧縮したりすることによって加工します。金属が柔らかくなった状態で加工するため、複雑な形状に加工することが可能で、また金属の組織が緻密かつ均質になるため機械的性質が向上します。真鍮では、約600~800℃に加熱することで熱間鍛造が可能です。熱間鍛造では、主に鍛造用黄銅と呼ばれる真鍮を材料として、各種バルブやガス機器などの製品に使用されています。

  • 展延性に優れる

真鍮は、圧縮する力や引っ張る力を加えたとき、破損せずに柔軟に変形する性質があります。そのため、常温でも、プレスする、ローラーで薄く延ばす、ベンダーで曲げるなどの加工が可能です。

  • 切削性に優れる

真鍮には、切断しやすく、削りやすいという特徴もあります。特に快削黄銅は、被削性を高める鉛やビスマスが添加されており、非常に高い切削性を示します。ボルトやナット、ネジなどに用いられており、精密加工が必要な機械部品の材料となることもあります。

  • 真鍮の欠点

真鍮は、酸化しやすい金属で、空気中で表面に酸化銅の皮膜を生じます。水分にも弱く、手で触れたり湿度の高い環境化に置かれたりすると、黒ずみを生じ、サビが進行します。そのため、真鍮の色を活かしたい場合にはクリアコート、色が変わってもよい場合にはニッケルメッキやニッケルクロムメッキなどの表面処理を行います。また真鍮は、ラテックスやゴムを分解腐食させてしまうという欠点があるため、これらと接触させて用いることは勧められません。真鍮は、導電性・熱伝導性の高さと酸化しやすさから、非常に溶接、溶断の難しい金属でもあります。

真鍮のどんな加工を依頼できるのか

①切断加工

最新式のレーザー切断機を使用したり、シャーリング、タップ、タレパン、カッター、チップソー、ロータリー切断機などを使用して、材を高速・高精度にカットします。切断は、その後の工程に大きく影響し、最終的な製品の仕上がり・精度にも関わる重要な加工工程です。

②曲げ加工

銅板金における曲げ加工では、ベンダー(折り曲げ機)を使用して直線的に折り曲げ加工を施すほか、R曲げ、V曲げ、Z曲げ、ヘミング曲げ、ロール曲げといったあらゆる曲げを、発注に応じて使い分けます。

特に小ロットでの発注の場合など、金型を用いず、叩いて成型する曲げ加工を採用することもあります。

銅材は伸びが良いため、他の金属に比べて小さいRで曲げられることが特徴です。一方で、精密な曲げ加工には熟練の技術が必須となります。

③溶接

銅材における溶接では、熱伝導度の高さが問題となります。軟鋼に比べ約8倍の熱伝導度があるため、熱が母材に拡散しやすく、融合不良やスラグ巻き込みといった欠陥になりやすいのが難点です。これを防ぐためには十分な予熱が必要であり、そのほかにも冷却時の割れや機械的性質の劣化など気をつけるべきポイントが多く、対策として基本的にろう付けが用いられます。

④切削

切削加工は、固定した材に対して機械を回転させて切削する「フライス加工」と、材を回転させる「旋削加工」に分けられます。フライス加工は材の表面加工に適しており、銅の場合は特に鏡面仕上げなどを施す加工がこれに当たります。そのほかにも、穴あけや溝削りといったさまざまな加工が可能です。旋削加工では、パイプ状に加工した材にテーパ加工を施したり、中ぐり、ねじ切り、突切りといった加工を行うことができます。




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