絞り加工の岐阜精器 中国製造業Blog 


プレス加工の仕組み

投稿日時:2020/10/23 11:27


プレス加工は、金型をプレス機にセットし、被加工材をプレスして製品を製作するというシンプルな仕組みです。また、低コストで大量生産が得意ということから製造業では欠かせない加工方法の一つです。

工程

金型設計➡金型の種類、プレス機を決める➡金型を製作➡テスト加工➡複数回のテスト加工後完成

プレス加工における金型・金型の種類について

順送型

順送型は別名「プログレ(PRG)」と呼ばれる、複数の成形機能を1つの型にまとめた金型です。1つの金型にせん断加工や絞り加工、曲げ加工などの成形工程を備えているのが特徴です。ロール状に巻いてある被加工材を使用する場合が多く、プレス機で被加工材を少しずつ順送りしていくことで加工します。特徴としては、加工スピードが早く、生産性も高いので大量生産に向いているというメリットがあります。しかし、1つの金型に1製品の加工工程をまとめるため、設計や加工難易度が上がるため、金型の生産コストが非常に高いデメリットがあります。

トランスファー型

トランスファー型とは、単発型を集合させて行うトランスファー加工に使用される金型を指します。1製品に対して工程を分けた単発金型を複数用意し、1工程目から順番に並べてプレスしていくことで製品を成形できます。被加工材を自動で運ぶ搬送機構が備わっているトランスファープレス機にセットされるため、自動で製品を成形できるのが特徴です。順送型(PRG)と比べると、加工速度は劣りますが、単発型を複数並べているため、形状を大きく変える工程のプレス加工にも対応できます。

単発型

単発金型は、1つの金型に1機能しかない金型になります。「絞り加工のみ」や「せん断加工のみ」など1機能しかない金型です。被加工材も人力で入れることが多く、業界にもよりますが自動生産にはあまり使われないのが特徴です。型構造が簡単なことが多いために金型の作成コストが比較的低いので、製品形状が簡単で小ロット生産をする製品などに向いています。

プレス加工における金型・金型の種類について

①せん断加工

せん断加工とは、板状の被加工材に外力でプレスして、完全に切断し分離する加工法のことで、「せん断」とありますが、単に切るだけでなく、切り抜いたり、外形を抜いたり、穴をあけたりすることもこの加工法に含まれます。二穴の穴開けパンチ器などは、せん断加工の最たる例と言えます。

②曲げ加工

プレス加工機で材料を曲げる加工法のことを言います。被加工材をプレスし、被加工材の引張り力と圧縮力を利用して、材料を曲げるものです。曲げの形状によってV曲げ、L曲げ、U曲げ、カール曲げ、ヘミング(アザ折り)曲げなどの種類があります。身近なものに例えると書類をひとつにまとめる金属製のクリップになります。

③絞り(しぼり)加工

被加工材に引っ張り力を加えながら、プレス機の「パンチ(雄型)」と「ダイ(雌型)」に沿った形状にする加工法のことを言います。これも身近な例で言えば、金属製やプラスチック製のボウルなどがあたります。底付きの容器状に形作られるのが特徴で、金属やプラスチックなど、被加工材によって引張り力などが変わります。

プレス加工のメリット・デメリット

①大量生産
プレス加工のメリットはなんといっても大量生産に向いているということです。一度金型を作ってしまえば、同じクオリティの製品を大量にロス無く作ることができます。個人によってばらつきのでやすい作業の質を一定に保つことができることも生産性に大きく関わります。検品作業なども定量化しやすいという利点もあります。

②形状の制限
もちろんメリットだけではありません。プレス加工には成形できる形状に制限があります。これはつまり、思い通りの形状で製品が作れないということです。成形に自由度が無いため、単純な形しか作ることができないというデメリットがあります。

③金型製作、設備投資が高価
また、せん断、曲げ、絞りなどをプレス加工ですべてこなそうとした場合、プレス機も大掛かりな仕掛けになる上、金型の制作も必要となり、設備投資が非常に高価になってしまうというのも難点です。また、試作品として小ロットで作るということが難しい。

このほか、プレス加工の作業のうち、非常に大きな力で金属板を打ち出す作業は大きな事故につながる可能性が無いとも言えません。またプレス加工後に発生するバリ除去などでは、熟練の技術が必要になります。

プレス加工と板金加工との違い

プレス加工と板金加工の違いは、技術力や経験値の差が製品に影響しやすい点です。プレス加工は一度金型を作ってしまえば、材料を入れるだけで同じ形状の製品を大量生産ができます。しかし、汎用金型を使って手作業で行う「精密板金」やハンマーなどで叩いて作業する「手板金」それぞれで担当者の技術力により精度が異なってしまいます。手作業の工程がほとんどなので、小ロット生産や完全受注生産などに使用されるのが板金加工です。個人によってばらつきのでやすい作業の質を一定に保つことができることも生産性に大きく関わります。検品作業なども定量化しやすいという利点もあります。


①形状の制限
プレス加工には成形できる形状に制限があり、つまり成形に自由度が無いため、単純な形しか作ることができない。


②金型製作、設備投資が高価
また、せん断、曲げ、絞りなどをプレス加工ですべてこなそうとした場合、プレス機も大掛かりな仕掛けになる上、金型の制作も必要となり、設備投資が非常に高価になってしまう。試作品で、まずは小ロットで製作してみるというのも難しい。


このほか、プレス加工の作業のうち、非常に大きな力で金属板を打ち出す作業は大きな事故につながる可能性が無いとも言えません。またプレス加工後に発生するバリ除去などでは、熟練の技術が必要になります。



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